「息が詰まる。どうしようもなかった。」
![](https://kujiraya.work/wp-content/uploads/2022/04/storyimage01-1024x580.png)
バーのマスターダルヤ
「最近よく来るね。しかも大体息の詰まった顔をしてる。飲むかい?」
「・・ありがとう」
ダルヤ「訳ありかな。ゆっくりしていきな。騒がしいけどな。」
ほぼ24時間あいているバー「KUJIRAYA」
(ほぼ24時間というのはマスターの匙加減。突然の休業もあるらしい)
![](https://kujiraya.work/wp-content/uploads/2022/03/kujiraya-logo-1024x391.png)
この区画で唯一酒が飲めるバーだけあって、確かにとても騒がしい。
そして、このバーがこの区画で一番明るい場所でもある。
雰囲気もそうだが、物理的に明るい。
![](https://kujiraya.work/wp-content/uploads/2022/04/epi01_挿絵01-1024x512.png)
そもそもここの区画は他の区画と比べて、一日中だいたい暗い。
3日に1回、人工太陽の日に、日光浴をする以外はほぼ夜みたいなものだ。
しかしだ。
24時間明るくできる、ここの店。
たぶん結構潤っている。マスターが別の商売もしているとか何とか。
しかも、今のご時世にもかかわらず、言えば大体なんでも手に入る、らしい。
金があればの話だが。
まぁ、とにかく。
人間は日中に生きる生き物だ。
暗ければ、そりゃ光が恋しくなる。
たぶんこのバーにいる半分以上の人間が別に酒など飲んでいないのであろう。
そもそも酒自体も結構値が張る。需要と供給のバランスってやつだ。
ルカ「私と飲む?」
![](https://kujiraya.work/wp-content/uploads/2022/04/epi01_挿絵02-1024x512.png)
彼女はバーのスタッフの一人。
というか人間ではないらしい。バンパイアだったか。
薄暗いこの区画が好きで、暮らしているらしい。
ルカ「あなただいたい暇そうだよね。ね、私と協力して探求しない?」
彼女はバンパイアの中でも変わっている方らしく、こういった流行りの”謎”っぽい話が好きらしい。
妹もいるって言ってた気がする。そう言われたら会ってみたくなる・・という策略か?
いや、たぶん嘘ではないと思う。たぶん。
そして、彼女の言う”探求”・・つまり探求者のことがだが、
あいつも・・あっちのあいつもそう。スチームパンク調な格好をした連中。
たぶんマスターもそう。というかモロそんな格好をしている。
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確か、昔いつの間にか発展していたインターネットの謎を解くべく、
インターネットを探っていた人たちを指したが、
今はというと、世界的に密かに流行っているコレクション「SteamPunkWhales」を追い求めている連中を指す。
データ自体に何か仕掛けがあるのか
ただのお飾りなのか・・
いまだに謎らしい。
ルカ「ブロックチェーンみたいよね。誰が作ったかわかんない感じ。」
たまに彼女は昔読んだという本の話を、現実の話みたく話す。
それがちょっと面白くて、気がつけば、いつの間にか一緒に飲んでいる自分がいる。
・・そんな金ほとんどないのに。
ここの看板娘は本当によく仕事のできるスタッフだ。
んで、
その「SteamPunkWhales」とは
広い深いインターネットの海から発見された、これまたスチームパンク調のKUJIRA。
![](https://kujiraya.work/wp-content/uploads/2022/04/epi01_挿絵04-1024x512.png)
この未知なる海にいるくじらの種類だけあるのだろうか・・
数も多く、集めるだけでも圧巻なうえ、人類未到のくじらまで発見されたとか。
そのせいか、中には恐ろしい額で取引されているものもあるとか。
こういった話は、バーにいるとちょこちょこ耳には入る。
娯楽が減った今、こういう謎が人類には必要なのだ。
人間の知識欲求がどうしても渇望してしまうらしい。
そりゃ、欲しいと思ったことがないと言ったら嘘となる。
というか2個持ってる。うん。
ルカ「やっぱり謎は美味しいよね。というかあなたが2個持ってるの、私知ってる。」
「だから声かけたの」
う・・やっぱりバレていたらしい。
きっと彼女は感覚デバイスをそれなりに所有しているのだろう。
確実に「視覚強化デバイス」は持っている。
![](https://kujiraya.work/wp-content/uploads/2022/05/epi01_挿絵05-1024x465.png)
「視覚強化デバイス」とは映像出力機がなくても、
目の前に映像出力機をバーチャルで出現させれらるもので、
もちろん、画像検索もできちゃう、マジの優れものだ。恐ろしく高価だけど。
そして、当たり前だが、データの所有者はネット上に、きちんと”所有者”として名が刻まれている。
どんな優秀なクラッカーも、これを改ざんできないらしい。
きっとこれが彼女のいう、ブロックチェーンなのであろう。多分。
当たり前にあるものが、なぜそうなのか・・
当たり前すぎて考えることなかったな、と不意に気付かされる。
ここの看板娘は本当によく仕事ができるスタッフだ。
ルカ「他の区画から来たあなただから、ここであまり取得できないデータ持っていると思ったんだ。」
客の素性もちゃんと把握している。本当によく仕事ができるスタッフだ。
ルカ「集めて圧巻・・だけだと思ってた?」
「ここだけの話ね。マスターにこっそり聞いたの・・聞く?」
これがここだけの話か、もちろんどうだかわからないが、聞かないという選択肢はない。
ルカ「KUJIRAに”新たなるデータを含有していることがわかった”んですって」
そんな話、全く聞いたことがない。
というか2つ持っているのに、そんなもの見たことがない。
何か仕掛けがあるのだろうか。それともぼったくる嘘?
ルカ「私もその辺りは全く仕組みはわからないのだけど・・
そのデータを見る方法・・意外と簡単なの。知りたい?」
それはもちろん気になる。
ルカ「10個所有したとき、突然現れるそうよ。」
・・?
それだけ?
ルカ「うん。それだけ。」
まじで簡単すぎる。
こんなに簡単なのに、全く聞いたことがないのは何故なんだろう。
・・・
あ、そういうことか。
ルカ「10個所有するなんて、かなーり・・だいーぶ・・とても難しいからね。」
確かに。
運よく2つ所有できたものの、周りに2つ以上持っている人なんていなかった。
あまり気にしてこなかったが、そういえばなんでなんだろう。
データは意外と多くの人にバラけているのか、どこかの誰かが全保有しているのか・・。
なのに、なぜ恐ろしい種類のデータがあるらしいという噂は聞くのだろう。
ルカ「私もマスター以外に10個持っている人見たことないの。」
しかし、そもそもなぜそんなこと教えてくれるんだろう。
これは見返りが怖いな。
ルカ「なんだかんだ君もこういうの好きそうだなって、それだけよ。長居しちゃった。またね!」
そう言ってテーブルを立つ彼女を、
つい引き止めてしまった。
”どんな”データが含まれていたのか、つい気になってしまった。
ルカ「ふふふ。やっぱり気になったでしょ。あ、けど私も仕事しないと・・」
ですよね。ビール1本よろしくお願いいたします。
ルカ「ありがと❤︎」
本当に・・本当によく仕事ができるスタッフだ。
ルカ「あ、その前に・・あなたの名前・・どう呼んでいいか教えてくれない?」
※ ATTENTION※
ルカがあなたの名前を尋ねています。ここで答えた”名前”が今後、主人公の名前として、この物語が終わるまで呼ばれることとなります。慎重にお答えください。
※なお、KUJIRAYAのフィルターに通らなかった場合はこの限りではございません。
※このミッションは終了しています※
名前は既に決定されました。エピソード002をどうぞお待ちください。
なぜかデータを保有している探求者にだけ、早期公開され、選択肢や回答が求められます。
全てには理由があるので、どうぞお暇な際に、ちょっとだけこの物語へ想いを馳せてください。
あなたの生活に”ちょっとだけ”ワクワクする廃坑的な冒険をお届けします。
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