ふう。
まさかの将来上司になるかもしれない人の話を聞きに行って、自分の話を語ることになろうとは。恐ろしや現代社会。
君の歳で、「潜水士1級」と「電気整備士2級」と「探鉱士2級」を取得済み。
私ですら「潜水士特級」だけだ。
そりゃそうだ。
かなり・・いやまじでだいぶ頑張った。
何かを闇雲に頑張っていないと、なんかもうどうにかなりそうだったから。
ただ眠り続けているだけ。
しかも突然倒れるように眠った。
本当に突然だった。
ただ家で何気ない会話をしていたときだった。
彼女は普通にたわいない話をしていた。
「この暗い世界で、生きているうちにカイと星でも見に行けたらいいのにな。」
確か最後に聞いたセリフはそれだった。
「そうだな、ま、別に実物を見れなくても、十分・・」
言いかけて、倒れる瞬間を見た。
前の区画は定期的に酸素が薄くなるタイミングがある。
それかと思った。
特段体が弱いわけでもない。
もちろん強いわけでもない。
普通に、ちょっと調子が悪いタイミングで、それがくると倒れる人もいる。
ただそれだけかと思ったのに。
それ以来、彼女とは会話をしていない。
起きてこないのだ。
生きているけど、目を覚さなくなった。
食事も排泄もない。
ただ穏やかにひたすら眠っている。
かれこれ半年になる。
彼女は、”空”に憧れを持っていた。
ググると出てくるたくさんの”空”の写真や映像。
”空”を飛ぶ”鳥”という生き物。
高すぎて届かない”雲”。”雲”すらない真っ青な世界。
夕方になると、真っ青から真っ赤に変わる。
そこからまた色を変えて。
次は深い深い”紺色”になる。
その深い”紺色”に散りばめられた、”星”や”月”。
こんなにも幻想的で美しいんだなと思った。
それらを1日ふたりでぼーっと眺める日だってあった。
それだけで全然幸せだった。
別に本物の”空”を見ることなく人生を終えようとも。
こういった日々が続くだけでよかったのに。
それは俺だけだったのか。。
彼女はどこも外傷はなく。
そうなると、心の問題を疑った。
僕たちはほとんどの時間をともにした。
全く苦ではなかったし、穏やかで優しい時間だった。
たとえ人類がこのまま海の底で暮らすことを強いられようとも。
俺はそれでも全然構わなかった。
くじらが陸から海へ戻ったように。
人類もそのような進化を遂げる必要があるのなら。
本当にそれでも構わないと思っていた。
そう思っていたのは俺だけだったのか。
彼女はひたすら、この現実世界が苦痛で。
現実世界を手放してしまったのだろうか。
そうしか思えなかった。
他の原因が思いつかなかった。
だから僕のできることを、今まで見てこなかった世界を手に入れようと。
ひたすら足掻いた。
もっとより海を知りたくなったから、
潜水士の資格をとった。
陸に上がるチャンスが得られるならと、
電気整備士の資格もとった。
奇跡の石の噂も聞いたから、
探鉱士の資格もとった。
その間、もちろん新しく知ったこともたくさんある。
おかげさまで心の整理もついた。
彼女のように、ひたすら眠る人が多くはないが一定数いることも知った。
人類が陸で生活していた時代にも、そのような人がいたことも知った。
(症状は多少違うらしいが)
そして、
前の区画では設備や機械があまりなく、それ以上のことを知ることができなくなったから、
引っ越しもした。
そうして、今俺はここにいる。
どうしようかな。
当初の予定は、
とっとと帰って、 仕事のこと考えるつもりではあった。
しかし。
※ ATTENTION※
「カハカイ」の言葉をきっかけに思い耽るカイ。
何気ない、穏やかな日を過ごしていた彼に訪れた出来事。
今の自分にできることを模索している日々だった。
どんなに大切で大事にしていても、手をすり抜けることすらある日々。当たり前にあるものなどないこの世で、感謝を忘れずにいられる人はどれだけいるのだろうか。
“What do we do after this?”(この後どうする?)
下記から選択してください。
1)当初の予定通り帰る
2)もうちょっと当たりをぶらつく
3)バーに行っちゃうか 『100%』
4)彼女のいる病院に繋いでみる
※このミッションは終了しています※
職種は既に決定されました。エピソード006をどうぞお待ちください。
なぜかデータを保有している探求者にだけ、早期公開され、選択肢や回答が求められます。
全てには理由があるので、どうぞお暇な際に、ちょっとだけこの物語へ想いを馳せてください。
あなたの生活に”ちょっとだけ”ワクワクする廃坑的な冒険をお届けします。
[ 近日公開 ]登場人物リスト・マップ・職業リスト(ライフラインを除く)