KUJIRAYA for SteampunkWhales
  • TOP
  • Whales Guide
  • List Schedule
  • Season001
  • Museum
Opensea
2022年8月1日
Season001

episode005 -前に進むために、過去を振り返るのだ。その1-

episode005 -前に進むために、過去を振り返るのだ。その1-
2022年8月1日
Season001

ふう。

まさかの将来上司になるかもしれない人の話を聞きに行って、自分の話を語ることになろうとは。恐ろしや現代社会。

君の歳で、「潜水士1級」と「電気整備士2級」と「探鉱士2級」を取得済み。
私ですら「潜水士特級」だけだ。

そりゃそうだ。

かなり・・いやまじでだいぶ頑張った。
何かを闇雲に頑張っていないと、なんかもうどうにかなりそうだったから。

ただ眠り続けているだけ。

しかも突然倒れるように眠った。

本当に突然だった。

ただ家で何気ない会話をしていたときだった。
彼女は普通にたわいない話をしていた。

「この暗い世界で、生きているうちにカイと星でも見に行けたらいいのにな。」

確か最後に聞いたセリフはそれだった。

「そうだな、ま、別に実物を見れなくても、十分・・」

言いかけて、倒れる瞬間を見た。

前の区画は定期的に酸素が薄くなるタイミングがある。
それかと思った。

特段体が弱いわけでもない。
もちろん強いわけでもない。

普通に、ちょっと調子が悪いタイミングで、それがくると倒れる人もいる。
ただそれだけかと思ったのに。

それ以来、彼女とは会話をしていない。

起きてこないのだ。
生きているけど、目を覚さなくなった。

食事も排泄もない。
ただ穏やかにひたすら眠っている。

かれこれ半年になる。

彼女は、”空”に憧れを持っていた。

ググると出てくるたくさんの”空”の写真や映像。
”空”を飛ぶ”鳥”という生き物。

高すぎて届かない”雲”。”雲”すらない真っ青な世界。
夕方になると、真っ青から真っ赤に変わる。

そこからまた色を変えて。
次は深い深い”紺色”になる。

その深い”紺色”に散りばめられた、”星”や”月”。
こんなにも幻想的で美しいんだなと思った。

それらを1日ふたりでぼーっと眺める日だってあった。
それだけで全然幸せだった。

別に本物の”空”を見ることなく人生を終えようとも。
こういった日々が続くだけでよかったのに。

それは俺だけだったのか。。

彼女はどこも外傷はなく。
そうなると、心の問題を疑った。

僕たちはほとんどの時間をともにした。
全く苦ではなかったし、穏やかで優しい時間だった。

たとえ人類がこのまま海の底で暮らすことを強いられようとも。
俺はそれでも全然構わなかった。

くじらが陸から海へ戻ったように。
人類もそのような進化を遂げる必要があるのなら。

本当にそれでも構わないと思っていた。

そう思っていたのは俺だけだったのか。

彼女はひたすら、この現実世界が苦痛で。
現実世界を手放してしまったのだろうか。

そうしか思えなかった。
他の原因が思いつかなかった。

だから僕のできることを、今まで見てこなかった世界を手に入れようと。
ひたすら足掻いた。

もっとより海を知りたくなったから、
潜水士の資格をとった。

陸に上がるチャンスが得られるならと、
電気整備士の資格もとった。

奇跡の石の噂も聞いたから、
探鉱士の資格もとった。

その間、もちろん新しく知ったこともたくさんある。
おかげさまで心の整理もついた。

彼女のように、ひたすら眠る人が多くはないが一定数いることも知った。
人類が陸で生活していた時代にも、そのような人がいたことも知った。
(症状は多少違うらしいが)

そして、
前の区画では設備や機械があまりなく、それ以上のことを知ることができなくなったから、
引っ越しもした。

そうして、今俺はここにいる。

どうしようかな。

当初の予定は、
とっとと帰って、 仕事のこと考えるつもりではあった。

しかし。

※ ATTENTION※

「カハカイ」の言葉をきっかけに思い耽るカイ。

何気ない、穏やかな日を過ごしていた彼に訪れた出来事。
今の自分にできることを模索している日々だった。

どんなに大切で大事にしていても、手をすり抜けることすらある日々。当たり前にあるものなどないこの世で、感謝を忘れずにいられる人はどれだけいるのだろうか。

この物語は、くじらのデータを保有している「1級探求者(あなた)」が介入できる物語です。

なぜかデータを保有している探求者にだけ、早期公開され、選択肢や回答が求められます。

全てには理由があるので、どうぞお暇な際に、ちょっとだけこの物語へ想いを馳せてください。
あなたの生活に”ちょっとだけ”ワクワクする廃坑的な冒険をお届けします。

[ 近日公開 ]登場人物リスト・マップ・職業リスト(ライフラインを除く)
前の記事episode004 -美味しいものが食べたい女の話。その2-次の記事 episode006 -飲み物を売っているんじゃない、時間を提供しているんだ。-

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

NEW!

  • 保護中: episode006 -飲み物を売っているんじゃない、時間を提供しているんだ。-
  • episode005 -前に進むために、過去を振り返るのだ。その1-
  • episode004 -美味しいものが食べたい女の話。その2-
  • episode003 -美味しいものが食べたい女の話。-
  • Episode002 -自分で答えの出せないものは人に聞く-

Category

  • Season001
  • Whales Guide

SteampunkWhales is NFT Collection

- KUJIRAYA 2022.04.04 -